階段下のがらくた部屋

ハリー・ポッターの感想・考察から日々の雑事まで。だったのが色々あって将棋とか。

▲7七銀の後に訪れた、フィクションと現実それぞれのドラマ  

最近何かと話題の将棋界。
電車で隣の人が将棋ウォーズを指していたり、カフェで隣の二人組が将棋の話題で盛り上がっていることも珍しくない光景になりました。
5年前にはこんなこと、想像もつきませんでした。
もっと以前から将棋ファンの方にとっては、きっと隔世の感どころではないでしょう。


そんな中で将棋界の盛り上がりの一因である、将棋を題材とした小説や漫画の映像作品化も相次ぎました。
漫画『3月のライオン』は私が将棋ファンになるきっかけとなった作品で、アニメ化(現在第2シリーズ放映中)もされ、 実写映画も公開されて、先日実写映画の後編がDVD/Blu-rayにて発売されました。

『3月のライオン』では作中に登場する将棋に実際のプロ棋士が指した棋譜が使われることも多いのですが
今日は映画『3月のライオン』後編のクライマックスで指された将棋のお話です。

劇場で映画を見ていた時には残念ながら気づけなかったのですが、ブックレットを見て
2013年2月1日、第71期順位戦 A級8回戦 ▲羽生三冠-△渡辺竜王戦がオリジナルの棋譜だとわかりました。

第71期順位戦 A級8回戦 ▲羽生三冠-△渡辺竜王(名人戦棋譜速報/要有料会員登録)

将棋ファン1年目だった当時、私はこの将棋を将棋会館の大盤解説会で観戦していました。
当時のブログ記事はこちらです
第71期順位戦 A級8回戦


順位戦A級というのは、将棋界のトップ10人が10ヶ月間総当たりで戦って、
名人への挑戦権を奪い合う場です。
全9回戦の8回戦ということは、のこりあと2戦。
この8回戦からA級棋士勢揃いの一斉対局となり、将棋界はさながらお祭りのように盛り上がります。

2013年2月1日の▲羽生三冠-△渡辺竜王はどういう状況で闘われたのかというと、

・羽生(6勝1敗)暫定首位
・渡辺(5勝2敗)三浦八段と同率2位

と、1位と2位の直接対決。
羽生三冠は自身が勝って三浦八段が負ければその時点で名人挑戦決定、
渡辺竜王は負けたら即挑戦の可能性はなくなり、
勝てば6勝2敗で首位に並び自力での挑戦権獲得の可能性が残ります。

両者はこの前年の王座戦で羽生三冠の王座20連覇を渡辺竜王が阻止し、
そしてこの年の王座戦で羽生二冠が即リベンジを果たして王座を獲り返し、
しかし王将、棋王戦では渡辺竜王が挑戦権を得てタイトル挑戦中…
というきわめて激しい覇権争いの真っ最中。
名人挑戦に関わるこの将棋もまさに天下分け目ともいえる一戦でした。

結果は劇的なドラマの果てに、羽生三冠が勝利。
この日は三浦八段も勝ったため挑戦獲得は9回戦に持ち越されましたが、
最終戦も勝った羽生三冠が8勝1敗という文句なしの成績で名人への挑戦を決めました。


映画『3月のライオン』後編の終盤、
獅子王戦挑戦者決定戦での▲後藤-△桐山戦はこの将棋が元になっています。
ここで、あれ?と思いませんか?


元となった将棋で勝ったのは先手の羽生三冠でした。
でも映画で勝ったのは後手の桐山君でしたよね。

実は現実と映画の将棋で同じなのは105手目の▲7七銀まで。
映画でもここからドラマが巻き起こりましたが、
なんと、現実の実際の将棋でもここから大変なドラマが起こりました。



105手目 ▲7七銀の局面


【映画でのドラマ】

▲7七銀
この手を見た桐山君は苦悩し、一種トランス状態のようになって自らの頭を叩いたりと奇行を見せます。
検討陣は▲7七銀の局面は、後手の王様が追い詰められていてそれを解除する方法がなく、先手の勝ちだろうと見立てられていました。
しかし、苦悩の末にハッと何かに気付いた桐山君…注目の次の一手は…!?

△7七同歩成
この手は先手を追い詰めてはいる、でも、先に後手の王様が詰んでしまう!
どういうことだ!?と誰もが思い、後藤も後手玉を詰ますべく王手王手で畳み掛けます。

だがしかし、そこで後藤も気がついた……後手玉は詰まない……。
桐山君ひとりだけに見えた勝ち筋で見事に勝利、獅子王戦の挑戦権を勝ち取りました。
(ちなみにここで逆転という言葉が使われていますが、正確に指せば後手が勝ちだったのですから、逆転ではないですよね…閑話休題)


【現実でのドラマ】

▲7七銀
1手前の局面から「▲7七銀では△同歩成が先手玉への詰めろになる(次に詰む)」と言われていたので、
この手が指されて解説会場はざわつきました。
後手玉も危険そうに見えるけど、ギリギリ詰まない。
どういうことだ!?次は当然△同歩成で後手勝ちだろうと解説会では言われていました。
私も▲7七銀の瞬間、全身から血の気が引く思いで見ていました。

△2三歩
えっ!?!?解説会場が再びざわつきました。
△7七同歩成で後手勝ちなはずなのに…後手が受けに回った???
しかも、受けに回ったことで、かえって今度こそ後手玉が詰めろに!
いったい何が起こったの!?!?
後手勝ちだろうと言われていた局面から形勢逆転、そのあとも難しい局面は続きましたが、正確に対応した羽生三冠が勝利をもぎ取りました。

なんと▲7七銀の局面では△同歩成と取ったら、
▲3四桂から「後手玉が詰む」と両者ともが同じ勘違いをしていたのでした。
実際には▲3四桂には△4一玉と逃げれば後手玉に詰みはありませんでした。

こんなことって…あるんですね…あるんですよ…。
目の前で見ましたもの…。
事実は小説より奇なり、です。


一手で勝敗が入れ替わってしまう将棋の恐ろしさ。
同じ将棋を題材にしながら、現実とはまったく正反対のドラマを展開した映画。
映画単独でももちろん面白いですが、こんな裏話を知るとより一層楽しめるのではないでしょうか。


スポンサーサイト

category: 将棋

tb: 0   cm: 0

将棋関連制作物  

将棋関連でこれまでに作ったものを(らくがき含めて)まとめてみました。
なんていうか、こう…まとめてみると、私の思いつき行き当たりばったり加減が浮き彫りですね!!!


■2013年5月20日
花将棋
http://greeny.blog7.fc2.com/blog-entry-394.html

桜の花びらをかたどった将棋駒のプリント用PDFデータ。
プリントアウトして切り取ればできあがり。
ため息をついただけで吹き飛んでしまう実用性皆無な駒なうえ、40枚切り取るのがかなり大変です。


■2015年5月9日
行方八段らくがき



第73期名人戦のBS中継見た後になんとなく描きたくなりました。
行方八段は絵に描きたくなる棋士。


■2015年12月20日
澤田六段らくがき



NHK杯で対局中の澤田六段を見て描きたく(略)
直後に澤田六段の師匠である森信雄七段からtwitterでフォローされ、動揺する。
行方八段のも澤田六段のも、iPhoneの手描きアプリで描きました。


■2016年4月4日
ねこはるさん+動画
http://greeny.blog7.fc2.com/blog-entry-420.html

ぬいぐるみ猫の棋士 ねこはるさんと、ねこはるさんの写真を加工して作った短い動画。
よくあみぐるみと勘違いされますが、私は編み物ができません。
カラー軍手を使っています。加工がしやすいのでけっこう簡単ですよ。
大変なのは服のほうです。袴が一番苦労しました。


■2016年4月27日
図解・名局探訪(第72期A級順位戦3回戦 ▲三浦-△羽生戦)
http://greeny.blog7.fc2.com/blog-entry-421.html

こういう観戦記だったら将棋わからない人にも伝わりやすいよね!ってことで。


■2017年1月1日
年賀状。



酉年だし、鳥といえばこれしかないよねってことで。
はがきに印刷したバージョンとは何か所か微妙に違います(入稿データにミスがあっただけ)。
お手持ちの方は見比べて探してみるとヒマつぶしくらいにはなります。


■2017年1月22日
駒袋



ちょっといい駒を買ったので、せっかくだから市販のよくある(?)駒袋じゃなく自分で作ってみました。
需要があるかどうか果てしなく不明ですが(単なる巾着袋ですし…)型紙をどうぞ。

五角形底駒袋型紙(PDF)

A4サイズに収まらなかったんですが、必要なのは底の五角形だけだと思いますので…。
厚手の布を使ったので縫い代は広めにとっています。

必要な材料:
布(B4サイズ程度)
キラキラビーズ大10粒
キラキラビーズ中20粒
刺繍糸少々(または丈夫な糸)
12mm幅リボン1m

自分好みの駒袋に入っていると駒への愛着倍増ですっ


■2017年2月26日
大盤




大盤を作ってみました。
複数人で棋譜ならべをするのにはどうやるのがいいかなー
→大盤があればいいじゃん
→なければ作ればいいじゃん
と。

極めて自然な流れ(?)ですね。


他に作る方がいるとも思えませんが、一応制作用のpdfを。

盤(ban.pdf/893 KB)
駒(koma.pdf/15 MB)
(駒のモノクロ画像は私の彫駒です。)

盤はA3サイズのカラーで2枚プリントしてつなげたものを、A2サイズのホワイトボードに貼って完成。
駒はA4モノクロでプリントアウトしたものを切って、
両面カラーマグネットシートに転写して駒形に切ったり文字を書いたりして完成。
転写はプリントアウトした紙の裏を鉛筆で黒く塗りつぶして、シートの上にのせてボールペンなどでなぞるとできます。

category: 将棋

tb: 0   cm: 0

将棋公式戦観戦用データまとめ  

2017/06/30加筆修正。(叡王戦の修正、Abema TVの追加、中継媒体の一覧を追加)

昔は新聞や機関誌に掲載される観戦記を待つばかりだった将棋の観戦スタイルも現代では多岐にわたり、中継方法もいろいろあります。(大変ありがたい(-人-))
しかし棋戦によって違ったり、同じ棋戦でも一次予選、二次予選、挑戦者決定トーナメント、そしてタイトル戦でそれぞれ中継方法が違ったり…非常にバリエーションに富んでいます。
端的に言うとまったくまとまりがありません。

将棋ファンになりたての人には、正直さっぱりわからないと思います。
せっかく将棋に興味を持ってくれたのに、どこでなにがどのように観られるのかわからないなんて!

と思いまして、表にしてみました。画面幅が厳しいですが、一応ぱっと見で
何がどこでどのように観られるかがわかると思います。
ぜひご観戦のお供にどうぞ!

赤字は無料で閲覧可能なコンテンツです。(会員登録が必要な場合はあります)


1:タイトル戦
2:一般棋戦
3:主な将棋中継媒体



【タイトル戦】

タイトル保持者と挑戦者がタイトルを賭けて争う戦い、それがタイトル戦。七番勝負なら4勝、五番勝負なら3勝を先にあげた者が1年間そのタイトルに在位する。
将棋のタイトル保持者とは、すなわち将棋を指す者すべての頂点に立つ存在。地位と名誉と高額賞金の獲得、そして将棋史に名を刻むことになる。タイトル戦は棋士にとって晴れの大舞台。全国各地を転戦して大々的に開催される。2017年度に叡王戦が加わって8大タイトルとなった。

棋戦名 持ち時間 時期 棋譜中継 動画配信 ブログ 観戦記 主催 備考
竜王戦 8時間 10~12月 webモバイル ニコ生Abema将棋プレミアム 主催紙、将棋世界 讀賣新聞 冬の到来竜王戦。名人戦と並ぶ最高棋戦。賞金は最高額の4,320万円。七番勝負。
名人戦 9時間 4~6月 名人戦棋譜速報モバイル ニコ生Abema 名人戦棋譜速報 web(/、主催紙、将棋世界 朝日新聞
毎日新聞
協賛:大和証券グループ
桜が咲くと名人戦。竜王戦と並ぶ最高棋戦。最も歴史と伝統がある。朝日、毎日がそれぞれwebにて特集記事をリアルタイム更新する試みをしている。七番勝負。
叡王戦 変則 3~5月 webモバイル ニコ生 - web ドワンゴ 2017年度からタイトル戦に格上げとなった。予選が段位別トーナメント、持ち時間が変則などユニーク。七番勝負。
王位戦 8時間 7~9月 webモバイル Abema 主催紙、将棋世界 新聞三社連合 夏の盛りの王位戦。動画中継はないが1分毎に更新される静止画中継がある。2017年度よりAbemaTVにて動画中継が始まった。七番勝負。
王座戦 5時間 9~10月 webモバイル ニコ生 主催紙、将棋世界 日本経済新聞 秋の夜長の王座戦。タイトル戦で唯一の持ち時間5時間で夕食休憩がある。魔の夕食休憩と呼ばれている。五番勝負。
棋王戦 4時間 2~3月 webモバイル ニコ生 主催関連各紙、将棋世界 共同通信 年度の締めの棋王戦。一方的な番勝負になると王将戦より先に終わってしまうことも。第3局あたりでとちぎ将棋まつりと同時開催される。五番勝負。
王将戦 8時間 1~3月 webモバイル ニコ生将棋プレミアム スポニチ、将棋世界 スポニチ
毎日新聞
協賛:囲碁将棋チャンネル
年の初めの王将戦。対局休憩中にインタビューしたり、勝者の面白写真を掲載したり、ユニーク。七番勝負。
棋聖戦 4時間 6~7月 webモバイル ニコ生Abema 主催紙、将棋世界 産経新聞 初夏の新緑あざやかな棋聖戦。新年度の順位戦もこのころ始まって将棋界が本格的に動き出す。五番勝負。



【一般棋戦】

各タイトル戦の挑戦者を決める戦いとタイトル戦ではないトーナメントなどを一般棋戦と呼ぶ。つまりはタイトル戦以外のすべての公式戦。ひとつひとつ勝ち上がった先が栄誉と収入につながっている。

※モバイルでの棋譜中継は注目局のみです。
※持ち時間の()は予選などで持ち時間が異なる場合の時間を示しています。
※持ち時間の表記で、例:「15分+10(30秒)」とは「持ち時間15分、使い切ると1手30秒未満の秒読み、ただし1分単位で合計10回の考慮時間あり」ということです。

棋戦名 持ち時間 棋譜中継 動画配信 ブログ 観戦記 主催 備考
竜王戦 5時間(3時間) web(決勝Tのみ)モバイル 将棋プレミアム(決勝Tのみ) ○(決勝Tのみ) 主催紙 讀賣新聞 1~6組に分けられてそれぞれ勝ち上がった棋士が決勝トーナメントへ。挑戦者決定戦は三番勝負。
順位戦(名人戦) 6時間 名人戦棋譜速報モバイル 「将棋界の一番長い日」と呼ばれるA級最終一斉対局のみニコ生などで中継がある 名人戦棋譜速報 web(/、主催紙 朝日新聞
毎日新聞
協賛:大和証券グループ
1日制の対局では最長の持ち時間。もっとも基本となる棋戦。A~C2のリーグ戦で挑戦者はA級10人の総当たりで決定する。名人戦棋譜速報という独立したサービスで全クラス全局棋譜中継が観られる。
叡王戦 1時間 webモバイル ニコ生(予選は注目局のみ) - web ドワンゴ 段位別予選を勝ち抜いた棋士で決勝トーナメント。2017年度よりタイトル戦に昇格、それにともない序列が三位かつ全棋士参加棋戦となった。
王位戦 4時間 モバイル - - 主催紙 新聞三社連合 予選トーナメントと挑決リーグ残留者で紅白2組に分かれて、勝ち上がった者同士で挑戦者決定戦。
王座戦 5時間 web(挑決のみ)モバイル - - 主催紙 日本経済新聞 予選勝ち上がり者とシード棋士とで本戦トーナメント。
棋王戦 4時間 web(挑決のみ)モバイル - - 主催関連各紙 共同通信 本戦トーナメントは4強に残ると敗者復活システムがある。
王将戦 4時間(3時間) モバイル 将棋プレミアム(挑決リーグのみ) - - スポニチ
毎日新聞
協賛:囲碁将棋チャンネル
予選勝ち上がり者とリーグ残留者とで挑戦者決定リーグで7人総当たり。3人が陥落する。
棋聖戦 3時間(1時間) web(挑決のみ)モバイル - - 主催紙 産経新聞 予選勝ち上がり者とシード棋士とで本戦トーナメント。
朝日杯将棋オープン戦 40分 web(一次予選は一部のみ)モバイル 準決勝以上はニコ生/テレ朝チャンネルなどで中継あり - web 朝日新聞 予選勝ちぬき者とシード棋士とで本戦トーナメント。準決勝・決勝は公開対局で行われる。優勝賞金1,000万円
銀河戦 15分+10(30秒) web(放映後配信) 囲碁将棋チャンネル - - 囲碁将棋チャンネル パラマス方式の変則トーナメントで本戦トーナメント進出者を決める。
NHK杯 10分+10(30秒) web(放映後配信) NHK Eテレ - NHK将棋講座テキスト NHK 日曜午前のピロリ~でおなじみ。本戦からNHKで全国放映される。歴史があるのでその分優勝杯が物理的に重いという噂。
将棋日本シリーズ 10分+5(30秒) webモバイル - - - 地方新聞11社、協賛:JT 通称JT杯。前期優勝者、タイトルホルダー、その他獲得賞金額上位者の計12名による選抜棋戦。出場権の獲得は一流棋士の証。公式戦での持ち時間が最短。全局が舞台上での公開対局。勝者と握手ができるなどユニーク。優勝賞金500万円
新人王戦 3時間 web(決勝三番勝負のみ)モバイル - ○(決勝三番勝負のみ) 主催紙 しんぶん赤旗 若手低段棋士(+奨励会員・女流・アマ)が対象の棋戦。トッププロへの登竜門。
上州YAMADAチャレンジ杯 20分(30秒) モバイル - - ヤマダ電機 五段以下(+アマ)の棋士限定の棋戦。準決勝以上は群馬県の「LABI1 高崎」にて公開対局。
加古川清流戦 1時間 web(決勝三番勝負のみ)モバイル - ○決勝三番勝負のみ - 加古川市
加古川市ウェルネス協会
四段以下の棋士(+奨励会員・女流・アマ)限定の棋戦。決勝は三番勝負で兵庫県加古川市にて行われる。

女流棋戦はどなたかお願いします…




【主な将棋中継媒体】


■棋譜中継
対局中の将棋の戦況を解説コメント付きで観られる。指し手の意味や狙い、形勢判断など将棋の技術的なことはもちろん、対局者の表情やしぐさまで伝えてくれることも。

日本将棋連盟モバイル

日本将棋連盟が運営するアプリ。フィーチャーフォン/Android/iPhoneで利用可能。アプリ自体は無料だが中継の閲覧には月額料金がかかる。30手までは無料で閲覧でき、ときどき無料の中継もある。


・各棋戦webサイト上での棋譜中継

PCで閲覧可能なwebサイト上での棋譜中継。詳細やリンクは上記の棋戦一覧表を参照のこと。


20170626.png

日本将棋連盟モバイルiPhone版の画面
2017年6月26日 第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦▲藤井聡-△増田康戦


■動画中継
対局者の様子や大盤解説を映像で観られる。媒体によって雰囲気や解説の難易度がかなり異なる。

NHK Eテレ

将棋と聞いた大多数の人の頭に浮かぶのがこのEテレでの放送だと思われる。詳細は上記一般棋戦一覧表のNHK杯の項にて。


囲碁将棋チャンネル

CS放送で囲碁と将棋の番組をかわるがわる半分ずつ放送している。詳細は上記一般棋戦一覧表の銀河戦の項にて。


将棋プレミアム

囲碁将棋チャンネルのweb版サービス。王将戦他各棋戦の動画中継や、囲碁将棋チャンネルのアーカイブを観ることができる。高画質。


ニコニコ生放送 将棋ch

ニコニコ動画にて将棋のタイトル戦や注目局の動画中継を行っている。独自の企画番組が放送されることも。雰囲気はかなり砕けているので、とっつきやすい。


Abema TV 将棋チャンネル

Abema TV内に開設された将棋専門チャンネル、タイトル戦をはじめ注目局の動画中継や、独自の企画番組も。アーカイブを交えてほとんどいつでも何かしら将棋の番組を放送している。高画質で、将棋初心者を意識した非常にわかりやすい解説や番組の構成が特徴。


nico.jpg

ニコニコ生放送の画面
2012年10月4日第60期王座戦第4局▲渡辺明-△羽生戦


category: 将棋

tb: 0   cm: 0

「将棋脳と人工知能―人間はどこまで機械に勝てるのか」  

朝日カルチャーセンターで行われた「将棋脳と人工知能―人間はどこまで機械に勝てるのか」という講座を受講してきました。
講師は東京大学教授の言語脳科学者酒井邦嘉教授と、羽生善治三冠です。

結構高度な内容で、レジュメの端に走り書きで取ったメモを頼りに記憶を引っ張り出すのが大変でした。
ライトな内容の講演とかならメモなしでも割と流れで思い出せるんですが、そもそも内容が難しいと理解してないと思い出すこともできないので、メモから漏れてしまった部分は思い出すのが難しかったです。


グレー文字は私の注釈、
引用部
はスクリーンに表示されたレジュメ、
青文字は羽生三冠、褐色文字は酒井教授の発言

※ささいなメモを元に私の記憶だけを頼りにして書いています。いろいろ間違っているところもあるはずですが、その点はご了承ください。

-----------------------------------------------------------------------------------
新宿住友ビル10階の朝日カルチャースクールの一室。
小さめの講義室の机を取っ払って椅子をぎっしりつめた感じ。開講ぎりぎりに間に合い、運よく割と前のほうにひとつだけ空いた席があったので着席。

正面にスライドを映すスクリーンがあって、それを挟むように向かって左に羽生三冠、右側に酒井教授。
羽生三冠はスモークグレーのスーツに水色のネクタイ、白のワイシャツ。
寝ぐせは「アンテナ」じゃなく、左後頭部の広範囲がふわっと浮いた感じの「浮き寝ぐせ」。



十年前の羽生さんの言葉「私がコンピュータ将棋に関心を持っているのは、コンピュータ将棋がどれほど強くなるかよりも、人間と同じような手が指せるようになるか、についてです。(中略)あるいは、人間よりも強くなったコンピュータが考えた手が、はたして本当の意味でのベストなのかどうかを知りたいと思っています(「中央公論」2007年5月号)」

酒井教授(以下酒):2007年の中央公論にこういった羽生さんの言葉が掲載されていました。

羽生三冠(以下羽):2007年…もう10年経ってしまったんだなあ、という感じです。
春にやったNHKの番組でも出てきたレンブラントの絵を模倣するAIがありましたけど、あれが将棋でも可能なのか、という。
たとえば昔の棋士の棋風を模倣するAIができるのかどうか。

開発者の方に話を聞いても、皆一様に、機械学習からディープラーニングを経て出てきた結果は、ブラックボックスなんですね。

デミス・ハサビスさんに聞いたところ、音楽は数学的処理がしやすいのでAIで再現しやすいらしいんですが。


酒:その点言語は非常にハードルが高い分野。
演奏前にAIが作った音楽だと知らせると、シーンとなったそうです。観客にバイアスがかかるんですね。
AIが作ったミュージカルを上映して反応を見るという試みがあった。観客の中にはAIが作ったことを知ってる人もいれば知らない人もいた。AI開発者は「AIが作ったかどうかではなく、ミュージカルそのものを評価して欲しい」とのことだったそうです。


羽:人間の感情的に受け入れられるかどうか、というのは大事なこと。

酒:HNKの番組で羽生さんはペッパーと対面していましたね。

羽:あれは特別な機体で他のものとは違って、音声認識で人の感情を読み取らせるようになっていた。
でも、どこまで人間の快・不快を認識できるのかについては疑問。まだそこまで繊細に読み取れてはいない。

ただ、人間と同じ感情的なアプローチができなくても、アンドロイドは視覚や聴覚などは人間よりはるかに高い性能を持たせることができる。
人間と分かり合えるかどうかは別として、ロボットならではのそれに基づいた「優しさ」は持たせることができるのでは。


酒:ロボットが感情を持つようになって、大量に世の中に出回るようなことになったら、まずロボットの学校が必要だということです。
つまり感情を持つと未成熟なロボットをそのまま世の中に出してしまうわけにはいかないと。

どういう点で安心感を得るかというのは文化によってもだいぶ違ってくるのですが、アシモは目がなくて圧迫感がある。
以前アシモに会った時、開発者の人に「呼ぶと来ますよ」と言われたので呼んでみたが来てくれなくてショックだった(笑)
ペッパーは足は二足歩行ではなくて、でも、手はとても精巧に作られている。でも握手をしたら握り返しては来なかった。そういう設計にはなっていないんですね。

これを、握手をしたら適切な力で握り返すとか、ハグし返すとかしたら、人間が受ける安心感が全然違う。
『アンドリュー NDR114』という映画がありました。


羽:すいません、見たことありません。

酒:1体のロボットが家庭の中でだんだんと人間に寄り添って感情を学んでいって、
彫刻をさせたら非常に評判がよく、売れるようになり、次第にロボットが自ら受注をするようになる。
でもロボットが作ったものにお金を払うのか、とかいろんなことが問題になる。
ロボットに法人格を持たせたらどうかとか。
ロボットは人間に近づきたいと思うようになって生体パーツに部品を変えたりして、最終的に自ら200年で「寿命」が来るようにしてしまった。生物として生きるということはいずれ死ぬことだ、と。
死ぬならロボットは果たして生物と言えるのか?


羽:現在でも家庭用に掃除機ロボットなんかが普及していますが、ほかの電化製品と違って、ほかの電化製品は修理に出したら新品同様にして返すのが基本だが、掃除ロボの場合は新品同様にして戻すとクレームが来るそうです。
人間側が個体に愛着を持つようになっているんですね。



「知能」とは何か
「知識と才能。物事を的確に理解し判断する頭の働き。学習し、抽象的な思考をし、環境に適応する知的機能のもとになっている能力」
・知識より知恵:普遍的な経験則や処世訓
・才能:「物事をうまくなしとげるすぐれた能力。技術・学問・芸能などについての素質や能力(『大辞林』)

羽:AIは人間に難しいことを簡単にやる反面、人間にとって簡単なことが難しかったりする。
たとえば知らない人の家に行ってコーヒーが作れるか、という。
人間は初めて行く家でもだいたいここにコーヒーのフィルターがあって、とかコーヒーを出して、とかできるが、AIにはそれが難しい。ありとあらゆることが想定されるので複雑すぎるらしいんです。


酒:なので今ある機械は個別に用途に応じてデザインされている。
与えられた問題に答えるのではなく、問題、テーマを自ら考えられるようになって、知能を持ち自立したといえる。

人工知能の定義も開発者によって違う。



人工知能は「宇宙人」
「人工知能の研究は、計算機に人間と同じような知能を与えること、さらには、それを通して、人間の知能の働きやその情報処理原理を解明することを目指している(『深層学習』p.3)
・人工知能は、謂わば人間の行動データを分析できる「知的生命体」。地球外でも実現可能。
・人間やアンドロイドは、異質な存在に感情移入して、親切で友好的になろうとするだろうか?

酒:将棋で対局する相手としてはどうですか。宇宙人ととらえれば受け入れられるとか。

羽:人間には思考の死角があって、それは生存本能とか防衛本能と密接に結びついていると思う。
それはAIにはない。

ロボットの外見をどんどん人間に近づけるとあるところまでは親しみを感じる度合いが上がっていくのに、あるポイントを超えると急に拒絶反応が強くなる。「ブキミの谷」と呼ばれている。あまりに近くなると逆に違いが目に付いてしまうということがある。


酒:言語の分野に関してはAIはまだ単語の先読み予測の域を出ない。たとえばメーラーのSPAM判別機能は便利だが、単語を拾って判別しているだけ。フィルターを強くしすぎると大事なメールまで弾かれてしまう。まだ文脈を理解するには至っていない。

羽:AIは膨大な機械学習を経て性能を高めることができる。人間には物理的に不可能なことだがAIが出した成果から何かを得ることは可能かもしれない。


「人工知能」の光と影
・マイクロソフトの”Tay”(ツイッター参加型の人工知能)―悪意ある攻撃のため失敗
→「言語」だけでなく「心(人格)」の学習が必須
・患者の問診で精神病の判定―90%の一致
・大脳皮質の分類―96.6%の精度で自動化
・技術が先行し、悪用されることへの不安
・面倒な判断は人工知能へ任せた方が楽?
→効率重視、責任逃れ、考えない人が増加

酒:マイクロソフトのTayの例も悪用する人間によって失敗してしまった。
善悪の判断がつかない状態では問題。
マイクロソフトの失敗は言語のみでアプローチした点。
人格面のもアプローチも同時に取り組むべきだった。

医療の現場でもAIを取り入れる取り組みがなされている。精神病の患者の問診では90%の精度だった。これを90%もと見るか、10%もダメなのかと見るか。
がん細胞を見つけるAIについては人間の医師には見分けられないものも判別できる。

データの力というのは大きくて、医療のデータは膨大。AIはビッグデータを扱うのに非常に向いている。
ただ、人命にかかわるものは99%大丈夫だとしても1%ダメだとなると使えない。そこが非常に難しい。

大脳皮質の分類させたら96.6%の精度で自動化できた。人間の脳の形は人それぞれ異なるから、ここからここまでが大脳皮質、と判別するのは、人間にはもう無理。

アメリカのとある治安の悪い街で警官のパトロールするルートにAIを取り入れた例がある。
経験豊富な警官が今日はあのあたりを回った方がよさそうだ、というのではなくAIが指定した場所をパトロールする。
人間側にはどうして今日そこへパトロールする必要があるのか、理解できないこともある。
で、結果どうなったかというと、犯罪率が低下した。
AIは膨大なデータをもとにたとえば服役中だった囚人が今日あそこで釈放される、とかいったデータも元にしていたりする。
そういったものを総合的に判断してパトロールの最適化に成功した。


羽:今後AIがまるで洗濯機などの家電と同じように家庭レベルまで浸透したら、人間が考える機会が減っていく。考えない人が増える。
どんどんAIが浸透して生産活動もAIがやるようになって人間は余暇ができるという見方もあるが、じゃあそれは現在の資本主義と相いれるのかという問題もある。
カオスの問題や天気や政治の決定は人間のほうが得意なのではないか。
AIのほうが「正しい選択」をできるかもしれないが、それを人間が納得できるかどうかという問題がある。


酒:現在も車のナビを同乗者に頼むとスマートフォンなどでgoogleマップを利用して、間違えるとgoogleマップのせいにしたりする(笑)

手塚治虫の漫画で『火の鳥』という作品があって、その中で政治もAIに任せてしまって、各国でAIがあらゆる決定をする。で、どうなったかというと、各国のAIが同時に核のボタンを押して世界が終わってしまった。

AIがもっと深い意味での理解をできるようになると「人間に従わない」ということができるようになる。


羽:人に危害を与える危険のある命令を拒否するとか。

酒:現在のAI、ニューラルネットワークモデルはどうやって学習を強化しているのかというと、人間の脳の仕組みを応用している。
つまりすべてを並列に扱うのではなく、情報を処理する中でユニット間の結合の強さを「学習」によって変えることで重要な情報とそうでないものとの差をつけている。



人工知能の研究史
・1958~:ローゼンブラットのパーセプトロン(2層)
―学習機能を持つ初の計算機(パターン認識)
・1970~:特定の知識に対するエキスパートシステムの開発―記号と論理計算(シンボル)
・1986~:並列分散処理(PDPモデル、コネクショニズム)―分散表現(ノンシンボル)が対立
・2006~:ヒントンの深層学習―2層毎の事前学習(自己組織化)の結果を初期値とすると有効

(羽生三冠もこういった人工知能の研究史についてはすでにご存じの様子に見え、それはもう非常にたくさん勉強されてNHKの取材に取り組まれたことがとても伝わってきた)

酒:最初はローゼンブラットが2層のパーセプトロンで学習機能を持つ初の計算機を作り出したが、2層だったためにすぐに行き詰ってしまった。でも3層にしたらいけることがわかって、現在につながっている。これがディープラーニングの走り。

そしてヒントンが2層ごとに事前に予習をさせてそれを初期値として処理させると非常に有効なことがわかった。


羽:ヒントンさんは猫の画像認識の人ですね。

ニューラルネットワークって伝言ゲームのようなものだと思っていて、たとえば「今日朝日カルチャーセンターで講座をやります」ってことを伝言ゲームで伝えると、2、3人なら正確に伝わるが、50人くらい伝言ゲームすると「明日新宿で買い物をする」とかになってしまう(笑)
情報を誤って伝えてしまう人にはどいてもらって、情報を減らして考える、余計な情報を捨てるのが大事。ただ膨大な情報を足していくだけではなく、引き算的思考が必要。


酒:深層学習(ディープラーニング)は多くの層(深層)を含んだニューラルネットワークモデルによる機械学習の総称。
層に物理的な「重さ」を与えることによって学習を深めることができる。



人間の2つの「思考過程」
1.直列情報処理:論理的な思考力・分析力、意識下と言語化が可能な過程
2.並列情報処理:直感・ひらめき(ユーレ力)、意識化と言語化が困難な過程(結論が出たときのみ意識に上る)→脳の自動計算?

酒:羽生さんは将棋でこういったことを実感されていると思いますが、人間の思考過程には2つあって、ひとつは直列情報処理。理屈で論理的に考えて言語化が可能な思考過程。
もうひとつは意識しなくてもパッと頭に浮かんで言語化の難しい思考過程。考えてないで答えが出てくるので脳が裏で自動処理しているように見える。


(ここで羽生三冠がアルファ碁の名前が思い出せなかった?ようで苦笑されてた)
羽:googleの作ったあの囲碁のソフトは人間が意識していないことを数値として実行している。だからAIが思考法の参考になる、ということもあるのでは。

酒:人間と人工知能のいちばんの違いはインセンティブにある。人間には熱意とか好奇心、感動が必要。棋士の修行法として江戸時代の将棋無双・将棋図巧を解くというのがあると思うが、羽生さんも修業時代に解かれていたとか。非常に手数の長い詰将棋で、解いた時の感動があったからできたという話でしたね。

羽:将棋無双とかは非常に手数の長いものばかりで、長いものだと解くのに一か月かかったりする。そのモチベーションを保つのに必要な「解けた時の感動」というのは「やった、解けた」という達成感みたいなものではなくて、それだけではとても気持ちが続かないが、高い芸術性に感動することで解くモチベーションが得られた。

江戸時代の人がこんな高度な詰将棋を作っていたというのもすごいなあと思う。
ただ、江戸時代だったからそれが可能だったというのはある。江戸時代の棋士というのは将軍に召し抱えられて、詰将棋を献上するのが一番大事な仕事だった。一門の名誉をかけて最高の詰将棋を作っていた。

羽:実戦と詰将棋の違いというのはあって、詰将棋は作為を考えるとか、あと、詰めあがりを最初にこんな感じかなと想像して、その間を埋めていくというやり方をしたりする。

羽:インセンティブっていうので思い出したが、シェフ―のワトソンなんかはレシピはたくさん作るけど、自らはけっして味わえないっていう(笑)



「創造性」とは何か
・「創造」―「それまでなかったものを初めてつくり出すこと(『大辞林』)」
・新しい組み合わせを際限なく生み出すこと
・人間の言語自体が創造性
・人工知能も人間の知恵や創造の歴史の上に築かれる。データを作ってきたのは人間!

酒:ピジン言語、クレオール言語というのがあって、ある地域で不完全な英語を話す大人に囲まれて育った二世である子供は、完全な英語を話すことができるようになる。
手話での実験もあって、たとえば簡単な手話を小学生に見せる。すると誰も教える者がいなくても子供たちが勝手に手話を生み出してそれを使いこなしていく。
一番適した年齢というのもあって、それは小学校低学年。


羽:将棋のソフトがどんどん強くなっていて、将棋ソフトで強くなってプロになる、という棋士も出てくるだろう。ただ、ソフトを手本に強くなれるのか、過程や考え方を学ばずに強くなれるのかという疑問はある。

酒:新しい組み合わせを、際限なく生み出すことが創造性。言語はまさにそういうもの。
人間がAIを作ったという意味だけではなく、AIが使うデータも人間が歴史の中で作ってきたもの。
チョムスキーの喩えで『言語は「雪の結晶」』というのがある。これは詩的な表現に聞こえるがそうではなく、雪の結晶はひとつとして同じものはなくて、でも法則を持って無限の組み合わせがある。言語とはそういうものであると。


羽:言葉って可塑性っていう問題もありますね。
若い人の表現で「それな。」っていうのがあるんですけど、これは文法としては正しいんだろうか?とも思うわけです。
でも、文法から外れてもそれが認知されて成立している。それが言葉の面白いところかなと。



文法こそ創造性の源泉
入力と出力を直接結び付けるなら反射で十分:「脳」は不要
文法は入出力に対して中立で、新しい組み合わせを生み出す「エンジン」

酒:それまでの文法では間違っていてもそれが受け入れられていくんですね。完全に決まったルールというわけではなくて、文法は「エンジン」なんです。ここでいう文法というのは特定の言語ということではなく、普遍文法、人間全体の言語の体系のことです。

酒:創造性ということで一人の人物を挙げます。羽生さんもよくご存じのボビー・フィッシャーの映画がありましたね。Pawn Sacrifice。これはSacrifice、有名な彼のゲームのポーンを犠牲するというのと人生における犠牲とを掛けているわけですが」


羽:思考の過程などがリアルな映像になっていましたね。

酒:人間vs.機械ということではガルリ・カスパロフとディープ・ブルーが印象的ですね。
1997年にカスパロフがディープブルーに敗れたことで有名ですが、前年にも対戦してその時はカスパロフが勝利しています。
実はその時の敗因のひとつが指し手をディープブルーに入力した人が間違った手を入力したからだとか(笑)


羽:ははは(笑)

酒:NHKの取材でアルファ碁の対局はご覧になったんですか?

羽:対局そのものは見られませんでしたが、対局2週間前に行われた記者会見はリアルタイムで見ました。
イ・セドルさんはこの時アルファ碁がまさかあんなに強くなっているとは夢にも思っていなかったと思います。
というのもそれまでの囲碁のソフトの実力というのはプロに対して3子とかっていうレベルで、将棋でいうと飛車落ちとか飛車香落ちくらいだったんですね。それが対局時にはあれだけ強くなっていた。
アルファ碁がやった自己対戦は一手1秒とかっていうものだったそうですが、とにかくそれをgoogleの持つリソースのパワーで膨大な数の対局をして学習した。

驚いたのはアルファ碁は一手にかける時間が同じなんですね。難しい局面であっても同じ時間しか使わない。それでどうしてあんなに強いのか、不思議です。

ただ、将棋よりも囲碁のほうがパターン認識という点でAIにはやりやすい、というのはあるそうです。


酒:白と黒ですもんね。聞いて驚いたんですが、強い人同士だと黒石だけで対局できるとか…

羽:ここは配置として白石のはずだ、というのがわかるんです。

酒:将棋では2012年の米長永世棋聖とボンクラーズの対戦が電王戦のはじまりだったわけですが、米長先生の「われ敗れたり」という本で非常に感動した箇所がありました。

(「強くなるにはどうしたらいいか、米長先生が改めて考えて、詰将棋を解くことにした。勝つための知識を知っていることには意味はなく、自分の頭を使って考えることが重要なのだ、それを鍛えるのが肝要だ」という趣旨の一節を引用して)

酒:私は学生時代に数学の数式を覚えてこれさえ覚えれば問題が解ける、というような授業が大嫌いだったんです。
解くのにえんえんかかってやっと解けるような問題に取り組むのが好きだった。
米長先生のような方が「自分の頭で考えるのが大事」と書かれているのを見て感動しました。

これはつまり知識を知恵に変える、創造性を持つということにもつながります。



Human vs. Computer(denou.jp)

第2期 叡王戦

2017年 春の対局を目指して

酒:勝ち進むとソフトと対局することになる叡王戦に羽生さんも参戦されてますね。

羽:昨日もやってました(笑)
ここ1、2年で棋譜が非常に変化していると感じます。
これまでどおりのプロ棋士の積み重ねによる棋譜と、ソフトの影響を強く受けたものとが混在している状況。
これは技術のブレイクスルーになるのではないかと思っている。

ソフトをどう使うか、何を学ぶかが大事。
将棋ソフトはストックフィッシュというチェスのプログラムをベースに作られているものが多い。
ルールが全く違うゲームなのに応用できるのは面白い。


酒:アルファ碁の強みはその汎用性にあります。まったくそのまま流用できるわけでもないですが、ディープマインド社の技術は英国の厚生労働省で採用されたり、google社内の電力効率を改善するのに成功している。

羽:そんなすごいことをやっている会社なのに、ディープマインド社ってごく少数の人たちでやってるんですよね。実際取材してみて「本当にこの人たち人間なのかな」って思いました(笑)

(あなたが言いますか!!と心の中でツッコミ)

羽:将棋ソフトの開発者の方たちのすごいところって、データ量でもハードでもなく、ソフトの力を高めたっていうところ。

酒:羽生さんとponanzaの対戦が叶うのか…期待してます。

category: 将棋

tb: 0   cm: 1

観る将棋入門案内  

指す将棋の入門書はありますが、観る将棋の入門書というか、
つまり将棋のルールはわからないけどちょっと興味あるかも、な人が
気軽に読める・観られるものの案内があったらいいかな、と思いまして。

選出条件は
・私が読んだ(観た)ことがある
・将棋のルールがわからなくても大丈夫
・メディア不問で面白いもの

で、オススメ順にご紹介します。


『透明の棋士』 北野新太 著(エッセイ)
『プロフェッショナル 仕事の流儀 名人戦 森内俊之VS羽生善治 最強の二人、宿命の対決』 NHK制作(DVD)
『ニコニコ動画 将棋公式 タイトル戦プロモーションビデオ』 ドワンゴ(PV動画リスト)

『3月のライオン』 羽海野チカ 著(漫画)
『聖の青春』 大崎善生 著(ノンフィクション小説)
『羽生善治 闘う頭脳』 羽生善治・他 著(対談・エッセイ)
『泣き虫しょったんの奇跡 完全版<サラリーマンから将棋のプロへ> 』 瀬川晶司 著(自叙伝)

『将棋の子』 大崎善生 著(ノンフィクション小説)
『羽生善治と現代 - だれにも見えない未来をつくる』 梅田望夫 著(観戦記・エッセイ・対談)
『プロフェッショナル 仕事の流儀 棋士 羽生善治の仕事 直感は経験で磨く』 NHK制作(DVD)

『将棋の渡辺くん』 伊奈めぐみ 著(漫画)
『ものぐさ将棋観戦ブログ』 shogitygoo 著(ブログ)
『note』 宮戸川 著(ブログ)
『note』 マツモト マイ 著(ブログ)


以下それぞれ個別にご紹介。
どれかひとつでも、興味のあるものに出会えますように。



『透明の棋士』 北野新太 著(エッセイ)

将棋とまったく関わることなく生きてきた報知新聞の北野記者が、
将棋と出会っていまや「不可欠」と言うほどにのめりこんでいく。
とりわけ棋士たちの魅力がこれ以上ないくらい熱く語られたエッセイ集で、web連載での好評から書籍化したもの。

劇的な描写を求めるあまり少々客観性に欠けたきらいがなくもないですが、
将棋を全く知らない人でも「とにかく棋士って、将棋って素晴らしい!」ということを感じていただける一冊です。

元のweb連載は

『実録!ブンヤ日誌』
『いささか私的すぎる取材後記』

ですが、本に収録されたエントリーは現在ではweb上では読めないようになっているのが残念です。
記事内の写真も良かったですし、web上で読むのと本で読むのとは違うので、残しておいて欲しかったです…。


将棋、または羽生さんに言及のある記事を以下にリストアップします。
リンクのないものは書籍に収録されている記事です。(2016/5/13修正)


『実録!ブンヤ日誌』

第6回 羽生善治流カレーライスの食べ方(2010.04.19)
第35回 青春を奨励会に賭けて(2011.10.24)
第39回 神様への恋(2012.01.19)
第50回 実録ブンヤ日誌(2012.06.20)
第52回 若い棋士の肖像(2012.07.24)
・第56回 夢、遠くても(2012.09.19)
第58回 千日手の長い夜(2012.10.16)
・第60回 発端――生まれ来た理由(2012.11.20)
第68回 コンピューターと棋士(2013.03.18)

『いささか私的すぎる取材後記』

・第2回 棋士が棋士であるために(2013.04.24)
第5回 一発狙い(2013.06.06)
・第9回 真夏の超克(2013.08.21)
・第11回 涙する強さ(2013.09.18)
・第13回 星々の街(2013.10.07)
第15回 死闘の果て 群青の海(2013.10.20)
・第16回 after the fight 戦いの後で(2013.11.06)
・第18回 闘志について語るときに羽生の語ること(2013.12.04)
・第20回 羽生について語るときに渡辺の語ること(2014.01.12)
第21回 闘志について語るときに渡辺の語ること(2014.01.22)
第23回 神々の集う場所(2014.02.20)
・第25回 羽生について語るときに森内の語ること(2014.03.30)
・第26回 先駆者の訪問(2014.05.01)
・第27回 奪還 震える夜(2014.05.23)
第34回 羽生の一分、鳴り響く歌(2014.10.29)
第36回 彼の中の失われない部分(2014.12.12)
第39回 表現者(2015.04.07)
第41回 台風下の棋士(2015.07.10)
第43回 いささか私的すぎる取材日誌(2015.09.11)
第45回 賢者、そして勇者がいた一日(2015.11.13)
第50回 人工知能について語る時に羽生の語ること(2016.05.13)(2016/5/13追記)



『プロフェッショナル 仕事の流儀 名人戦 森内俊之VS羽生善治 最強の二人、宿命の対決』 NHK制作(DVD)

2008年の名人戦を密着取材したNHKの番組をDVDにしたもの。
DVDなので少々値が張ってオススメしづらいという理由から2番手に甘んじましたが
内容だけで選ぶならこちらを1位に推したい作品です。

10歳のころからライバル関係が続く森内名人羽生二冠の最高の舞台での戦い。
映像の説得力という強みがいかんなく発揮された素晴らしい作品です。
百聞は一見にしかずとはこのこと。
生身の人間が知力体力の限りを尽くして苦悶しながら戦う様が克明に描かれています。

将棋なんて動かないし、そんな映像観たって面白くないでしょ?と思う方、そのイメージが覆りますよ。



『ニコニコ動画 将棋公式 タイトル戦プロモーションビデオ』 ドワンゴ(PV動画リスト)
※ご視聴の際にはコメントオフ推奨

ニコニコ動画で中継された過去のタイトル戦のプロモーションビデオを私がリスト化したものです。
(1つだけチェスが紛れていますが…)
視聴にはログインする必要があるかもしれません。
タイトル戦他将棋関連の生放送がたびたびありますので、
これを機に登録されるのも良いのではないでしょうか。

ニコニコ動画 将棋公式チャンネル

プロモーションビデオだけあっていずれも映像の力が凝縮した素晴らしい動画です。
2012年度の名人位400年記念のシリーズがニコ生でタイトル戦を初めて完全生中継したのを皮切りに、
以降断続的にPVが作られましたが2014年度の王座戦を最後に
ドワンゴが主催する叡王戦・電王戦以外のPVは作られなくなりました。(タイトル戦中継は続いている)
また作って欲しいなあ…。
リスト中の動画を以下に列挙します。


・ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負PV


2012年度 第70期名人戦 森内名人vs羽生二冠。
名人位400年記念として大々的にPRした名人戦でした。
私が観る将棋ファンになるきっかけがこのPV。
「へ~、ニコ生で中継するんだ~。ちょっと見てみようかな」と思ってから4年たちました。


・将棋 第84期棋聖戦 羽生善治棋聖vs渡辺明竜王 PV


2013年度 第84期棋聖戦 羽生三冠vs渡辺竜王(三冠)
史上初三冠対決!ということで注目度が高かったシリーズ。
渡辺竜王が勝てば渡辺四冠、羽生二冠となり、世代交代のかかった大一番でした。


・将棋 第61期王座戦 羽生善治王座vs中村太地 PV


2013年度 第61期王座戦 羽生三冠vs中村六段
八王子将棋クラブの後輩である中村太地六段が、前年度の棋聖戦に続いて挑戦したシリーズ。
王座戦のPVというより中村六段のPVという感も。


・将棋 第26期竜王戦 渡辺明竜王vs森内俊之名人 PV


2013年度 第26期竜王戦 渡辺竜王vs森内名人。
渡辺竜王は竜王位獲得10期目のかかった、竜王vs名人という注目度の高いシリーズでした。
しかも9年前に竜王を奪った相手が誰あろう森内名人。9年越しのリベンジマッチ。


・将棋 第62期王座戦 羽生善治王座 vs 豊島将之七段 PV


2014年度 第62期王座戦 羽生名人(四冠)vs豊島七段
関西若手出世頭と目されて久しい豊島七段が満を持しての登場。
豊島七段が将棋を始めたきっかけが4歳の時に羽生名人らが特集された番組を見たからというエピソードが語られる良PV。


・2014.11.28 電王戦特別チェス対局:ガルリ・カスパロフ vs 羽生善治


こちらは番外編。
電王戦のプロモーションイベントの一環として催されたチェスのエキシビションマッチのPV。
トーナメントプロとしてはすでに引退したものの伝説とまで称される元世界チャンピオンのカスパロフ氏
チェスで日本トップレベルの羽生名人との夢の対戦でした。

つい先日現役トッププレイヤー相手にカスパロフさんが超早指しで対戦して
大活躍したというニュースを見ましたが、案外これがきっかけで
プレイヤー魂に再び火がついた…?のかもしれません。

実際の対局中継の録画もまだ観ることができます。

【電王戦特別企画】ガルリ・カスパロフ vs 羽生善治チェス対局




『3月のライオン』 羽海野チカ 著(漫画)

高校生とプロ棋士という二足のわらじをはく桐山零を主人公とした漫画。
一見ほんわか系の絵柄とは対照的な、シリアスな人間ドラマです。
プロ棋士が主人公なので将棋の描写が当然ありますが、ルールや将棋界事情などいっさい知らなくても問題ないです。
私が将棋に興味を持つきっかけとなった作品。

TVアニメ化・実写映画化が決定していて、そこからまた新たな将棋ファンが生まれることでしょう。

TVアニメ公式サイト
映画公式サイト



『聖の青春』 大崎善生 著(ノンフィクション小説)

29歳で夭折した天才棋士・村山聖(むらやまさとし)九段の生涯をつづったノンフィクション小説です。
「東の羽生、西の村山」と並び称される存在でしたが、幼少期から重い病気を背負い
文字どおり命がけで将棋を指した、激しくまばゆい一生の記録が刻まれています。

松山ケンイチさん主演で映画公開が予定されていて、公開されれば大きな話題になること必至。

映画公式サイト



『羽生善治 闘う頭脳』 羽生善治・他 著(対談・エッセイ)

羽生名人の若いころから現在に至るまでのエッセイや他の方が羽生さんのことを書いた文章、羽生さんと著名人との対談などを贅沢に集めた一冊です。
当初ムックとして発売されたものが文庫化されました。
非常に充実した内容で、ここ20年の間に変化(進化)していく羽生名人を文字で追うことができます。



『泣き虫しょったんの奇跡 完全版<サラリーマンから将棋のプロへ> 』 瀬川晶司 著(自叙伝)

一度はプロ棋士の夢を断たれてサラリーマンになったのちに、アマチュア大会で頭角を現したことで
異例のプロ編入試験を受けて見事夢をかなえた瀬川五段の自叙伝。
現在の三段リーグ編入試験・プロ編入試験の制度を設けるきっかけを作った方です。
将棋だけで純粋培養された棋士たちの集まる特異な世界というイメージを持たれることもある将棋界ですが
瀬川五段はサラリーマンを経験しているので、
そういう意味で非常にとっつきやすく読んでいただけるのではないかと思います。

瀬川晶司のシャララ日記(瀬川五段のブログ)



『将棋の子』 大崎善生 著(ノンフィクション小説)

『聖の青春』の作者によるもう一冊の将棋ノンフィクション小説。
プロとして輝かしく活躍する棋士たちがいる一方で、棋士になる夢に破れていったたくさんの若者たちがいます。
そういった若者の一人のその後にスポットをあてた作品です。
ノンフィクションであるということを信じたくないと思うような展開で、私は途中で読むのがつらくなったりしましたが
結果的には最後まで読んで良かったと思えた一冊です。



『羽生善治と現代 - だれにも見えない未来をつくる』 梅田望夫 著(観戦記・エッセイ・対談)

既存の二冊の本を一冊にまとめて編集・加筆した一冊。
著者の梅田望夫さんはシリコンバレー在住のIT系コンサルタントなどを生業とする事業家。
アメリカに住みつつも長年隠れた将棋ファンで、
「観る将棋ファン」という概念を打ち出した「観る将」のカリスマともいえる梅田さんが
羽生さんのタイトル戦をリアルタイムで追い、周辺の棋士に取材をし、対談して
「羽生善治」という存在を解析しようと試みた名著です。

盤側で観戦したり何度も対談を重ねたからこその描写と観察力と分析力を活かした考察が出色。



『プロフェッショナル 仕事の流儀 棋士 羽生善治の仕事 直感は経験で磨く』 NHK制作(DVD)

2006年に羽生さん個人にNHKが密着取材した番組のDVD。
ちょうど10年前ですから35歳当時の羽生さんのいろんな場面での様子が見られる貴重な映像です。



『将棋の渡辺くん』 伊奈めぐみ 著(漫画)

著者の伊奈めぐみさんは渡辺竜王の奥様で、以前から人気だったブログがきっかけで
いきなり漫画を連載することになり、それが単行本化されました。
ブログに垣間見えるセンスが漫画でも発揮されていて、とてもいい味を出しています。
渡辺竜王の飾らない(そしてちょっとずれた)日常がつづられるほのぼの漫画です。

妻の小言(伊奈めぐみさんのブログ)
渡辺明ブログ(渡辺竜王のブログ)


『ものぐさ将棋観戦ブログ』 shogitygoo 著(ブログ)

観る将棋ファンの間で巨匠と呼ばれているshogitygoo(しょうぎたいぐー)さんのブログ。(羽生名人ファン)
質の高い大変読み応えのある記事がたくさんあって、観る将棋ファン必見です。



『note』 宮戸川 著(ブログ)

noteというのはサービス名なので、ブログのタイトルは『○○のnote』ということになるでしょうか。
将棋ファン(三浦九段ファン)である宮戸川さんの文章がつづられたnote(ブログ)です。

将棋の内容にはいっさい触れていないし、目的を放棄することを目的としたような文章なのに
将棋と棋士の魅力がひしひしと伝わる、天才としか言いようのない記事が読めます。



『note』 マツモト マイ 著(ブログ)

将棋ファン(森内九段ファン)でかつライターであるマツモト マイさんのnote(ブログ)です。
こちらも将棋の内容には一切触れずに将棋と棋士への愛をあふれさせた文章が素敵。
第1期 将棋もも名人戦がオススメです。

category: 将棋

tb: 0   cm: 0

図解・名局探訪  

shogi-infograph_20160506105037f57.png

[ PDFはこちら ]


twitter上でのイラスト観戦記のアイデアを受けて、自分で描いてみたくなりました。
第72期順位戦の三浦羽生戦を選んだ理由は、この将棋が好きだからというのもそうですが、なにより将棋のポイントがしぼられていて視覚的に表現しやすそうだったから。そして将棋をわからない人にも伝わりやすいものになりそうだったからです。
将棋ファンになって4年の間にリアルタイムで見た対局の中で一番好きな将棋は第72期名人戦第1局ですが、あれは難解な応酬が果てしなく続く展開で、あの将棋の魅力を視覚的に表現するにはどうしたらいいのか、ぱっとは思いつきません。
将棋ファンが見て楽しんでもらえるのもうれしいですが将棋に関心のなかった人の目に留まって
「将棋ってこんななんだ、ちょっと面白そうかも」
と思ってもらえたらいいなあと思います。

category: 将棋

tb: 0   cm: 3

桜と将棋とぬいぐるみ  

4月になり桜が咲き…そう、名人戦の季節です。
第74期名人戦は前期王座戦でも戦った佐藤天彦八段を挑戦者に迎えて4月5日に椿山荘にて開幕します。
とてもとても楽しみです。
1年前は当日まさかの入院という予期せぬ事態に現地観戦がかないませんでしたので、今年は何としても行くつもりです。(でも実は有休申請これから…)

さて、4月から今期が始まったということは3月末で前期が終了したということです。
そしてその前期を総括する将棋大賞も発表されました。

第43回将棋大賞受賞者のお知らせ

羽生名人が2年連続21回目の最優秀棋士賞を受賞されました。
おめでとうございます!!

最優秀棋士賞とはMVP(most valuable player)あるいはPlayer of the yearのことですね。
現役生活30年中21年間、最も優れ秀でた棋士である、と。めでたい。

めでたいので動画で祝ってみました。


羽生善治名人 最優秀棋士賞受賞 お祝い動画



はい。

ぬいぐるみは「ねこはる」さんといいます。
※ぬいぐるみは現実の人物・団体とは関係ありません。


カラー軍手でぬいぐるみを作って、
1_20160403234541c2d.jpg
まだヒゲもメガネもありません

無料型紙工房ことろさんの型紙を参考に和服を縫い、
2_2016040323454313c.jpg
衣装一式。

絵コンテなんかも一応書いてみたりして、
IMG_9062.jpg

iPhoneで写真を撮り、Photoshopで加工し、
psd_20160404000413122.jpg

Adobe AnimateCCで動画にしました。
fla.jpg


以前webがFlash全盛期だったころに仕事でFlashバナーを大量に作っていたので、その要領です。
音を入れることも考えて素材を集めていたのですが、アニメーションが短すぎるのとあわないのとで結局無音の動画になりました。
最後の扇子パタパタがなければ10秒にも満たない動画ですからね…。
長編のクレイアニメーションとか作る方は狂気の沙汰(ほめ言葉)です。



で、なぜ最優秀棋士賞を祝うのか21回目の受賞で別段今年に限って祝う理由はないじゃないか、
という疑問がわくかもしれませんが、そこはあまり深く追及しないでください。

ぬいぐるみがなぜ猫なのか?という点については、はじめは人型で考えて材料をそろえていたのです。
もうだいぶ前のことです。2年くらい前かもしれません。
以前私はマイケルくんというぬいぐるみを作っていたし、そうだ、作ってみようと。
が、材料がほぼそろったところで、自分内倫理委員会から待ったがかかりました。
人型はNGだと。

day3_02_08.jpg
マイケルくん

実はマイケルくんを作ったのは、マイケル・ジャクソンが亡くなった後なのです。
きれいな景色とかをマイケルの代わりに見せてあげられたらいいなあなどと考えて作って、
マイケルくんを連れてマイケルの暮らしていた街であるロサンゼルスに行ってみたりもしました。

マイケルくんを作ったのはそんな状況だったのですが、
今度作ろうとしているものはそうじゃないだろうと。
そんなわけで自分内倫理委員会からNGが出てしまったために、
材料がもったいないけどお蔵入りに…なるはずでした。

が、昨年末ころふと思ったのです。
猫ならいいじゃん…!と。

どういう思考回路と価値観でそうなるのかわからないというのは至極ごもっともだと思いますが
そうなったのです。
深く追及してはいけません。

まあとにかくそんな理由です。(文章をまとめる気がない)


できれば和服も色を変えたり紋付を作ったりしてみたいのですが…
たぶんやらない気がします。
画像はたくさん撮ったしこれからももちろん撮れるので、それを加工して遊んだりはするつもりです。
そんなわけで今後ともねこはるさんをよろしくお願いいたします。

GH171_L.jpg

category: 将棋

tb: 0   cm: 2