階段下のがらくた部屋

ハリー・ポッターの感想・考察から日々の雑事まで。だったのが色々あって将棋とか。

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第72期名人戦 閉幕 羽生名人復位成る  

桜が舞い散る中で始まった第72期名人戦が、若葉の色が濃くなる初夏の訪れと共に幕を閉じました。

第69期にフルセットで失冠、翌年は4-2、そして去年は4-1での惨敗。
それが今期三度挑戦者に名乗りを上げて史上初の4年連続同一カードによる名人戦が実現しました。
一年前の今頃は、胸が押しつぶされそうで、苦しくて、
もう羽生さんが森内名人に勝つところがまるで想像できないでいました。
でも、きっとこのままじゃない。今までだって進化し続けて来たからこそ今の羽生さんがあるのだろうから、
絶対にこのままであるはずがない。
当時のブログ記事でもそのようにつづっていました。

それから一年経って、今期は名人を取り戻すんじゃないかと、なんとなく思っていました。
不安な気持ちはいっぱいだったけど、妙に確信めいたそんな予感で不安を抑えていました。

第一局は先手:森内竜王名人-後手:羽生三冠で相掛かり。
序盤から飛車角交換が行われて大乱戦になった。
お互いに神経をすり減らすような長い長い中盤を経て、羽生三冠の攻めがつながり羽生優勢…
が、容易に土俵を割る森内名人ではなく、178手もの長手数の末に羽生三冠先勝。

失冠した第69期から一年前の第71期まで、開幕局を落としていた羽生さんの、
しかも後手番での勝利はとてもとても大きかった。
開幕前日の前夜祭の写真を見ると気合がみなぎっているように見えました。
前期はこんな表情はまったく見られなかった。


■第二局は先後を入れ替えて再び相掛かり。
羽生さんが腰掛銀にすると見せかけて、鎖鎌銀に打って出るという意表の展開に。
鎖鎌銀は後手番での古い奇襲戦法だったそうで、それを先手番の作戦として現代によみがえらせました。
前期棋聖戦での相横歩取りの採用を思い起こさせます。

「森内さんの土俵では、やらないよ」

羽生さんのそんな意思を感じました。
第一局よりさらに激しい展開となり、主導権を握った羽生三冠が短手数で鮮やかに勝利して、二連勝。
森内名人がにわかには敗着をつかめないくらい、羽生さんが完璧に指しまわしたように見えました。

■第三局は今期初の初手▲7六歩からの矢倉…後手5三銀右急戦矢倉。
去年の竜王戦で渡辺二冠が唯一勝利した第三局と途中まで同一進行で、
香を損して先手に馬もつくらせながらも堅く囲って後手もやれるという、
正直初心者の私にはどういうことなのかよくわからない高度な作戦です。

やはりこの将棋でも羽生さんの攻め、森内名人の受け、という構図ではあるのですが、
これもやはりのお互いに牽制し合ってじりじりと
手をつぶし合い手を渡し合いの神経戦の様相を中盤では呈していました。
どちらが先に手詰まりになるか…というところで慎重を期して指されたはずの
森内名人の▲4六歩を逆用して意表の4筋からの仕掛けを羽生三冠が開始。
細い攻めをつなぎ、穴熊の遠さを生かして先手玉を即詰みに討ち取って羽生三冠の三連勝。


おそらく私だけでなくて他の羽生ファンの方々も似たような心境だったかと思うのですが
三連勝しても素直に喜べませんでした。
「4勝するまで、わからない」
私などはファンになってここ2年の新参者で、2008年の3連勝4連敗の悪夢も情報としてしか知りません。
が、それでも、名人戦でのここ数年の結果…特に去年の名人戦での惨敗が心に深く突き刺さったままだったのです。

■第四局…運命の第四局は、大方の予想を覆して今シリーズ再々度の相掛かり。
第一局、第二局とも違って、今局で工夫を見せて主導権を握ったのは森内名人でした。
一日目が終わって、まだ互角なんだろうけども、▲5六の角と▲3六の銀が働く気がしない………。
前期第71期名人戦第一局が脳裏をよぎりました。
あの時は角が打った甲斐なく右銀が終局まで働かないまま完敗だったのです。
二日目に入って、指し手が進むごとに形勢が悪化しているように思われました。
ああ…この将棋は、きっと負けるのだろうな…と悲観的な気持ちでじっと経過を見守っていました。

後手優勢…と思われていました。
確かに二日目夕方までは後手が優勢という評価だったはずです。
それが△3五銀と指された直後から、何やら解説の雰囲気に変化が見られました。
異口同音の「後手がいい」から「あれ、でも案外難しいのかな」という声に変わっていきました。

ひたすら負担でしかなかったお荷物の角を後手の守備駒の金と交換して竜を作った局面は、
「駒がさばけた」のではないかと感じました。
しかも強力な攻撃力を持つ竜を敵玉のすぐそばに成りこめてもいる。
どうやらこのあたりでこの将棋の趨勢に変化が見られたようです。

「悪くなっても離されないでぴたり後ろを付いて行く。間違えたら許しませんよ、と。」
羽生さんの劣勢の将棋を戦う上手さを表現して、よくこのような言葉が聞かれます。
どれだけ強い人でも、常に作戦勝ちできるわけではない。
30年近い現役生活で1700局以上を戦ってなお7割2分超の勝率を支えているのは、
劣勢の将棋でも逆転を可能にする力に他なりません。

後手が優勢でも、いざ先手陣を攻めるとなると難しかったのかもしれません。
そこでおそらく出たのであろう森内名人のミス(プロでも指された瞬間にはミスとは思われないような)を
逃すことなく羽生三冠は機をつかんだのだと思います。
先手優勢だった各解説の評価が「互角」「微差」「難解」となりました。

今シリーズずっとその傾向でしたが、はじめに時間を多く使っているのは羽生さんでも、
途中から残り時間の差が逆転して、最後には羽生さんのほうが残していました。
第4局も、誤算があったと思われるあたりから森内名人が時間を使うようになり
いつの間にか残り時間が逆転していました。
夕食休憩時、形勢不明の混沌とした局面で、双方の残り時間は森内名人40分、羽生三冠1時間40分。

渡辺二冠をして「残り1時間のたたき合いは羽生さんの世界」と言わしめる羽生さんの終盤力。
もし混沌とした終盤で形勢が互角だとするなら、これは希望が持てるのではないか、そう感じていました。

お互いの玉が危険な状態で大駒が飛び交う大激戦に、だれも結末が見いだせないまま
勝負の行方を見守っていた最終盤。

▲4一金
一段目に金を打って王手をかけて相手玉を上に逃がすという、
ここだけを見たら初心者がやるような「ふつうはやってはいけない手」を
羽生さんが指しました。
しかも自玉も大変に危険な状態なので金を手放すのはとても決断のいる手だったはずです。

しかし、これが最後に利くことになりました。
控室でもどちらが勝ちなのか結論が出せない状態で指された▲4二角。
4二は相手の玉の斜めすぐ後ろ、相手の金の真横のマスです。
羽生さんいわく「▲4二角を見つけて勝ちだと思った」と。

数手後、後手玉を即詰みに討ち取って、森内名人が投了。
そしてこの瞬間に第72期名人戦七番勝負は幕を閉じました。

羽生三冠が4期ぶりに名人位を奪還し、羽生名人に。

なんというか。信じられないようなものを見ている気分でした。
そしてじわじわと込み上げる喜び…

羽生名人という文字を思い浮かべるだけで、胸の奥から体全体に喜びが広がるようです。
とうとう、とうとう、とうとう名人位を取り戻しました。
併せて4冠となり、同時に棋界の序列一位にも返り咲きです。




羽生名人
名人復位
おめでとうございます!!!


いやむしろ

ありがとうございます!!!!
。゚(*ノДノ)゚。ワァーン





以下は羽生名人復位を記す記事やブログなどをざっと



名人戦:羽生、4戦全勝で奪取 史上初3回目返り咲き(毎日新聞)
羽生「四冠」、独走態勢へ 将棋名人戦七番勝負・第4局2日目(朝日新聞)
第27回 奪還 震える夜(いささか私的すぎる取材後記)
名人戦。(渡辺明ブログ)

羽生善治、四連勝で名人奪取。(将棋観戦記)
第72期名人戦七番勝負第4局は挑戦者の羽生三冠が勝ち、4連勝で名人位へ復位(weblog)
第72期名人戦 第4局 4期ぶりに名人復位  ~長い3年だった~(英の放電日記)
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