階段下のがらくた部屋

ハリー・ポッターの感想・考察から日々の雑事まで。だったのが色々あって将棋とか。

棋聖戦第二局~王位戦第四局、そして王座戦へ  

ブログを大分放置しておりました。
棋聖戦第一局のあと、第二局~第四局、王位戦第一局~第四局までを
ざーっと、思いつくまま、だらだらと書き連ねようと思います。
散漫な考えをまとめることを、すでに放棄しております…


■棋聖戦第二局(中継ブログ 棋譜中継
棋聖戦第一局が終わり、つづいて第二局。
後手番でなにをするのか注目された戦型は…第一局に続いて横歩取り、と思いきや
そこから変化しての相横歩取り。
羽生三冠が後手で相横歩取りを指すのはなんと24年ぶり!とのこと…
(対局者の渡辺竜王は現在29歳なので、当時まだ小学校に入ってもいません)

最近「古い将棋の中に鉱脈がある」という発言をしている羽生三冠。
その発掘作業を本格的にカタチとしてあらわし始めたように見えます。

”序盤、中盤、終盤隙がない”羽生三冠といえど完全無欠ではありません。
ちょっと前に解説会か何かで、
「羽生さんの終盤力は今でも他に並ぶ人がいない。対抗できるとすれば森内名人と渡辺竜王くらい」
(どなただったかちょっと忘れてしまいましたが)という旨の発言を聞きましたが
確かに逆転して勝つことはあっても、逆のケースはあんまりないイメージ。

とすると、中盤…いや、序盤…。


仮に羽生三冠に隙があるとしたら、序盤なのではないでしょうか。
超がつくほどの過密日程を涼しい顔でこなしつつも、
同じ棋士ですら「いつ研究しているんだろう」という疑問を抱く羽生三冠の日常。

将棋の研究はいつでもできる、とはいえ、物理的な時間の少なさは絶対に否定できません。
「すべてを追いかけようとすると、一番弱いところに水準があってしまう」旨の発言をしていることからしても
”研究の量と質では、かなわない”とご自身が認識されているようにも思われます。


そこへもって棋聖戦の挑戦者に名乗りを上げた渡辺竜王は屈指の研究の量と質。
渡辺竜王は量が質に転化した、現代将棋の申し子のような印象を受けます。
特長のひとつとして挙げられる「見切りの良さ」も、研究の量に支えられて相乗効果を成しているような。
ではその相乗効果を生み出している”研究の量”が生きない展開だったとしたらどうでしょう。
たとえかすかにであっても、目減りするのは避けられないのではないでしょうか。


可能性が狭まることが何よりイヤだという羽生三冠。
狭いところを掘り尽くす研究ばかりではなく、もっと広い、いろんな将棋の可能性を求めて、
なおかつ現代将棋の進化を先導してきた、現代の定跡の進化にもっとも関わってきたその経験からの
大局観を存分に発揮できる展開こそが、今現在のご自身の力を一番発揮できる…と思われているのかなあ…
と、すべて私の勝手な想像です。

ただ、なんというか、元々最強のオールラウンダーと呼ばれている羽生三冠が
”現代の定跡の進化にもっとも関わってきたその経験”を生かして
より一層オールラウンドさを増したというか…
ありとあらゆる戦型、戦法、最新型から20年以上昔の将棋まで…
言うなれば、究極のオールラウンダーになった(なろうとしている)ような気がするのです。


第二局の展開は、序盤で相横歩取りという変化球を投げた羽生棋聖に対して
即終盤突入の変化もあったものの、先手渡辺竜王がそれを避けて穏やかな進行に。
(これは去年のあの伝説となった王座戦第四局が頭をよぎりますね…)

先手ペースかと思いきやそうでもなかったようで、
解説も後手が苦しい?→どうやら後手ペースという流れでした。
終盤後手の羽生棋聖にミスもあったものの逆転には至らず。

どこか途中で形勢が入れ替わったというよりは、ずっと難解だったらしく
先手が形勢を損ねたとすれば序盤で端の位を取ったあとで銀を出たあたりだろう、ということだそうで…


難解な将棋を制して番勝負は羽生棋聖の二連勝。


■棋聖戦第三局(中継ブログ 棋譜中継

先手羽生棋聖が勝てば三タテで防衛が決定する第三局。
戦型は角換わりに。

静岡県沼津市でのタイトル戦は初開催。
土曜で、日帰りできる距離なので、この日は現地に行きました。


馬を切って踏み込んでから、羽生棋聖ペースに。
終盤、大盤解説会ではもう渡辺竜王の敗因を分析しはじめる状況で、
羽生棋聖の三タテ防衛を疑う者は現地にはいませんでした。
ただ一人、渡辺竜王を除いては…

羽生勝ち間違いなしの雰囲気の中、手元のモバイル中継のコメントを確認すると
「2二銀と受けられたらどうするんでしょう?」というニコ生解説の先崎八段の言葉。

(私は自力では2二銀で何がどうなるのかなんてわかりませんが)
背筋が凍る思いでした。

羽生防衛間近という雰囲気の会場、そして、ぎりぎりで勝ち筋が見えた時に出る羽生棋聖の手の震えが…!

そして2二銀

時が止まりました。
ちょっと見ていられなかったのですが、おそらく羽生棋聖は愕然とされていたと思います。
終盤での痛恨の見落とし。
その意味するところは、「大逆転」。


将棋はたったの一手で勝ちが負けに、負けが勝ちになる”逆転のゲーム”…。


ただ、そこからの羽生棋聖の、おそらく最善の追い込みもすさまじかったです。
残り時間も少なく、しかも痛恨の見落としで勝ちを確信していた勝負を逆転されて、
動揺するとか心が折れるかするのが普通だと思いますが、
そんな気配を微塵も感じさせない、凄みを帯びた迫力での追い込みでした。
並の人間ならあの迫力の猛追で再逆転を許してしまうかもしれない、と思えるほどの。

ただ、このとき羽生棋聖の向かいに座っているのは、渡辺竜王。並の人間ではありません。
決死の追撃にもひるまず、的確に羽生玉を討ち取りました。

羽生ファンである私は心に大ダメージです…
私は2008年当時まだ将棋ファンではありませんでしたが、
初代永世竜王争奪戦(※)での3連勝後の4連敗が頭をよぎらなかった羽生ファンはいないのではないでしょうか。

史上初の三冠対決にふさわしい、素晴らしく白熱した将棋でした。

(※渡辺竜王に羽生名人が挑戦した2008年第21期竜王戦。どちらが勝っても初代永世竜王、しかも羽生さんが勝てば空前絶後の大記録永世七冠達成というシリーズ。羽生さんが3連勝後4連敗という史上初のケースで破れ、渡辺竜王が初代永世竜王になった。現在も9連覇中。)

■棋聖戦第四局(中継ブログ 棋譜中継

1勝返されて羽生棋聖が後手番で迎える第四局。
ここで負けるとタイトルの行方は最終局へ持ちこされてしまいます。

ただ、このシリーズ通じてずっと、羽生さんの表情がとても生き生きとしていたので
(相手が相手で状況が状況だけに、実際は心臓バクバクでしたけども)
それが私の心のよりどころでした。

羽生さんの表情が生き生きしているなら、きっと、大丈夫。
そんな確信が私にはあります。

第四局は今シリーズ再再度の横歩取りへ。
相横歩にはならず、今回はどんな展開になるのか…と思っていたら
後手の羽生棋聖が早々に9筋の位を取る、という工夫を。
そして角交換したそのあとでさらに1筋を取って、後手の陣形はまるで鳥が翼を広げたようなカタチ
プロからしても狙いがよくわからないらしく、なんだか羽生棋聖が一人ゆったりと構えているような…

そこから馬を作り、大駒2枚で盤面を制していく羽生棋聖。
最後は大差になって、渡辺竜王、投了。

中央で後手玉、後手の飛車、先手の角、先手の飛車が数珠つなぎに睨み合う
なんとも派手な投了図となりました。


これにて棋聖位通算12期、通算タイトル獲得数を84期に伸ばして
シリーズ成績三勝一敗で羽生棋聖の防衛が決定。

史上初の三冠対決と注目された今期棋聖戦は、羽生棋聖に軍配が上がりました(* ´ ▽ ` *)


■王位戦(中継サイト

棋聖戦と並行して、タイトル初出場の行方八段を挑戦者に迎えて
こんどは王位戦七番勝負が始まりました。

奇しくもというかこちらも第一局第二局と羽生王位が先に2連勝したあとの第三局では
地元青森に近い北の大地で息を吹き返したのか、行方八段がするどい踏み込みで1勝を返しました。
(それにしても矢倉の脇システムが私の中でどんどんイヤなイメージになっていきます………)

次なる第四局は今期王位戦では初の横歩取りに。

某さんの表現を借りれば、最近は羽生さんの”横歩殺法が炸裂”している印象。
今年に入って横歩取りで羽生さんが負けたのって、2月の朝日杯準決勝しかないような…

○A級順位戦ラス前(対渡辺竜王戦、先手)
●朝日杯準決勝(対渡辺竜王戦、先手)
○竜王戦1組(対佐藤天七段戦、後手)
○竜王戦1組(対小林裕七段戦、先手)※先手青野流からの相横歩取り
○棋聖戦第一局(対渡辺竜王戦、先手)
○棋聖戦第二局(対渡辺竜王戦、後手)※相横歩取り
○棋聖戦第四局(対渡辺竜王戦、後手)

今年に入ってからの羽生三冠の横歩取り(相横歩取り含む)の将棋はこれで全部ですよね。確か。
7戦6勝1敗、勝率0.857…!!!

名人戦では森内名人の見事な戦術によって横歩取りそのものを封じられてしまいましたが、
渡辺竜王を相手に4勝1敗とは。
しかも手番が先手でも後手でも勝ってるのが、いかにも羽生さんらしいというか(*^^*)


さて話を戻して王位戦第四局(中継ブログ 棋譜中継)です。
そんな「横歩殺法」が今回も炸裂するのでしょうか。

長考派で知られる行方八段に合わせてか、羽生さんも序盤から時間を使って
今期王位戦はどれもじっくりとした進行です。
こういう”2日制らしい”将棋もいいですね(^^)
初日はのんきに観ていられるのは、ファンとしても心の平和が保てて歓迎です(笑)

じりじりと間合いのはかり合いで1日目が終了、
2日目に封じ手が開封されてやや後手ペースかな?という雰囲気で
お昼前に行方八段が、ガツン!と後手の飛車の真向かいに自分の飛車をぶつけてきました。

「飛車交換できるものならやってみろ」

という挑発的な手です。
飛車を交換したらお互い飛車を手持ちにするので、双方とも攻撃力がグンと上がります。
これにて戦闘開始ののろしが上がりました。

羽生王位の手番でそのまま昼食休憩に入り、そして休憩明け。
時間前に戻ってきた羽生王位からは、全身から気合がみなぎっていました。
”獲物をみつけた獣の目”
です…!
再開の合図とともに指された一手、それは8六同飛。

「ええ、飛車交換しようじゃないですか」

と、堂々と飛車の交換に応じました。
先手が望んだ結果の飛車交換ですから、この後の展開が先手にとってまずいはずがない…のが普通ですが…

局後の感想によるとその後の展開に誤算があったらしく、
行方八段は飛車交換に応じられて驚いたとのこと。

飛車交換後は終始羽生王位のペースで、先手にいいところなく行方八段の投了となりました。


なんというか、売られたケンカを買って圧倒して勝ってしまった、という印象で
……………………かっこいい(////)



Σはっ
…失礼しました。



えーと、で、羽生さんから見てシリーズ成績を3勝1敗にして、次の第五局(8月26、28日)に続きます。
(王位戦は七番勝負なので先に4勝あげたほうが勝ちです)




ところでこのあたりまでの期間、羽生三冠の日程が恐ろしいことになってました。
ほぼ中一日(地方への移動日含む)という殺人的忙しさ。
公式戦の他にも非公式戦の達人戦準決勝(対加藤一二三九段戦)、東急東横将棋ま

つり出演、
そして王位戦第四局を博多で指した翌日、飛行機で帰京してそのまま上大岡の京急将棋まつりへ出演。
ちなみに去年の京急将棋祭りも王位戦(確か兵庫県有馬温泉)の翌日でした。

棋聖戦第5局がなくなって空いた日程はお休みできてよかったですねとか思ってたら
チェスの練習対局されてるしΣ(-o-;

しかしとりあえずは怒涛の日程はお盆とともにひと段落。
ぽっかり2週間空いて(その間もチェスを指されていた模様)、
お次の公式日程は8月24日、静岡でのJT杯(対佐藤康九段戦)です。

忙しいほど感覚が鋭敏になっていくらしい羽生さんの日程がぽっかり空いてのJT杯の早指し戦ですが、
それが終わると中2日で王位戦第五局、
そしてその一週間後には若手出世頭、中村太地六段を挑戦者に迎えての
王座戦五番勝負もいよいよ開幕です!

中村六段は去年の棋聖戦の挑戦者
タイトル初挑戦だった昨年は羽生棋聖の三連勝で敗退となり、
通算対戦成績も羽生さんから見て5戦全勝ではあります。

が!

まったく楽観などしていません。
去年もそうでしたけど、今年もそうそうたるメンバーを撃破しての挑戦権獲得。
しかも挑戦者決定戦は、剛直流で知られる郷田九段を相手に
真っ向からのすさまじい殴り合いを制しての勝利でした。
私が言うまでもなく、ものすごく強い。

1勝。
1勝入れられたら、”何か”が変わる可能性がある。

中村六段ご自身もそう感じていらっしゃるようです。

開幕戦は9月4日。宮城県仙台市にて。

羽生王座が再び若者を叩き落とすのか、
若者が王者を勢いで呑み込み雪辱を晴らすのか、ぞくぞくする戦いの火ぶたが切って落とされます。

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category: 将棋

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