階段下のがらくた部屋

ハリー・ポッターの感想・考察から日々の雑事まで。だったのが色々あって将棋とか。

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第62期王座戦閉幕  

今年も夏が来たと思ったらいつの間にか秋になり、
そして秋を感じる間もなく季節は冬に入っていました。
12年春に将棋ファンに…もとい羽生ファンなってからというもの、
4月~10月までが一足飛びです。
それもそのはず、その間の名人戦・棋聖戦・王位戦・王座戦と
4つのタイトル戦に羽生さんが毎年出続けているからですね。
というわけで、名人に加えて今年も保持するタイトルをすべて防衛されて11月を迎えました。

王座戦は内心の戦前予想では3-1での防衛で、
第一局第二局と二連勝したときには
「これは3タテになるかも?」と思っていたのですが、とんでもなかったですね。
第三局で負けて、「まあ戦前予想通りかな」なんて思っていたらですよ。アナタ。
第四局は今まで私が観た中でこんな大敗はなかったというくらいの大敗でした…

8四の歩を取られてマズいなら何故端を突いたんですか…
端を突いたあとの△6五歩はいったい何だったんですか…
結局△6五歩が残ったまま終局して、哀しいったらありません。

というわけで、私にとっては「まさか」のフルセットに。
当然防衛を願って信じていましたが、一局の将棋の勝敗に王座の行方がゆだねられることになって、
正直不安な気持ちでした。


羽生王座の先手で横歩取りで始まった将棋は、いつのまにか先手居飛車対後手中飛車の
まるで対抗系のようになって、長い長い中盤戦が延々とづづきました。

途中までは後手が指しやすいと目されていましたが
ようやく戦いが始まってしばらくして、次第に先手に評価が傾いていきました。
私はその途中で家に着き、夕飯も食べずにニコ生とモバイル中継でひとりじっと観戦。
双方もう持ち時間がなくなってきて、ただ、先手がかなりの優勢で…でも、まだ終盤戦ではなくて…。

優勢から勝ちにもっていく技術に大変定評のある羽生さんではありますが、
まだ局面は終盤とは言えなくて、でも時間がもうない。
そんな中、あやしく勝負手をしかけてくる豊島七段。

▲3四歩

それまで後手のそんな手を「面倒見る」姿勢だった羽生さんが、突如決めに出ようと心を決めたようでした。
「手の流れとしては先手変調?」との声も聞こえましたが
「このままずるずると差を縮められてしまうより、アドバンテージが大きい今のうちに
(多少間違っても)決めに出るべき」と判断されたのだと感じました。

そしてそこから繰り出される驚愕の強気の攻め手の数々。

大駒を見捨てての端攻めから猛攻をしかける先手の羽生王座。
たまらずお城の守りの扉を銀で閉ざした豊島七段。
ここはいったん龍を引き上げて攻撃の包囲網を整え直すだろうと誰もが思ったその瞬間

▲8二同龍!!!

まさかの龍切りで観る者全員の度肝を抜きました。

そしてさらに▲9一銀!!!

ここでもおそらく全員が、「なんだこの手は!?」と感じたに違いありません。
同玉と取られて、そのあとにいったい何が…???
羽生王座は、A級棋士の阿久津八段が「見たこともない手筋」と評した
すさまじい歩の手筋で後手玉を追い込んでいきました。

▲9一銀を△同玉ととった後手の王様に対して、
▲9三歩
次に▲9二飛と打たれて一手詰めなので逃げる一手の△8二玉
▲9二歩成
△同玉
▲9四歩
再度の△8二玉
そして▲9三歩成。

先手が9三の龍を切る前、後手の王様は7一にいました。
そこから後手が8二に打った銀を先手が龍で取って、それ同玉として後手の王様が8二へ。
驚愕の9一の銀捨てを同玉と取って王様は9一へ。
そしてそこから8二、9二、8二、そして最後の▲9三歩成で元いた7一へ。

龍を切る前と違うのは9三にいた駒が龍からと金になっていて、先手の龍と歩1枚が後手に渡って、
そして手番が後手から先手に移ったこと。

▲9一銀では▲9三銀のほうがよかったとか、いやそうでもないとか、いろいろ議論があるようですが
そんなことよりも。

間違えたら、後手玉を寄せられなかったら負けになる、王座を失うことになるこの局面で
こんな手順に踏み込めるその勇気。決断。
その姿こそが観る者の心に訴えかけるのです。
指し手が正しいかどうか(もちろんこれも大切なことですが)、ソフトの評価がどうかとか、そんなことじゃない。

人の心を動かすのは、死にもの狂いで何かと向き合い、
勇気をもって決断し、敢然と行動する者の姿に他なりません。

とはいえ怖くて怖くて、震える手でタオルを握りしめながら
顔面蒼白でPCの画面を見守りました。


勝負が決した瞬間、体中に血が通うのを感じました。
でも、手の震えはしばらくおさまらなかった。


こんなにも心を動かされる将棋というものに、羽生さんという存在に出会えたことに、
今あらためて、とても幸せを感じています。


-追記-

この最終局の終盤に、去年の王座戦(対中村太地六段)で感じたのと共通したある印象を受けました。
相手が若い豊島先生だったから、踏み込んでいったんじゃないかな。
たとえば森内竜王が相手だったなら、たぶんこういう勝ち方はしなかったんじゃないかな、そう思います。

普段は常識人かつ紳士の振る舞いで、常に感情をコントロールされてて絶対に失言なんてしないし、
対局中もぎりぎりの終盤でもまったく動揺を見せなくて、
まるでゆるぎない心を持っているかのように見える羽生さんの
隠しきれない心の奥がほんのちょっとだけ垣間見えたような気がして、
なんだか少し嬉しいようなほっとしたような。
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category: 将棋

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