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階段下のがらくた部屋

ハリー・ポッターの感想・考察から日々の雑事まで。だったのが色々あって将棋とか。

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▲7七銀の後に訪れた、フィクションと現実それぞれのドラマ  

最近何かと話題の将棋界。
電車で隣の人が将棋ウォーズを指していたり、カフェで隣の二人組が将棋の話題で盛り上がっていることも珍しくない光景になりました。
5年前にはこんなこと、想像もつきませんでした。
もっと以前から将棋ファンの方にとっては、きっと隔世の感どころではないでしょう。


そんな中で将棋界の盛り上がりの一因である、将棋を題材とした小説や漫画の映像作品化も相次ぎました。
漫画『3月のライオン』は私が将棋ファンになるきっかけとなった作品で、アニメ化(現在第2シリーズ放映中)もされ、 実写映画も公開されて、先日実写映画の後編がDVD/Blu-rayにて発売されました。

『3月のライオン』では作中に登場する将棋に実際のプロ棋士が指した棋譜が使われることも多いのですが
今日は映画『3月のライオン』後編のクライマックスで指された将棋のお話です。

劇場で映画を見ていた時には残念ながら気づけなかったのですが、ブックレットを見て
2013年2月1日、第71期順位戦 A級8回戦 ▲羽生三冠-△渡辺竜王戦がオリジナルの棋譜だとわかりました。

第71期順位戦 A級8回戦 ▲羽生三冠-△渡辺竜王(名人戦棋譜速報/要有料会員登録)

将棋ファン1年目だった当時、私はこの将棋を将棋会館の大盤解説会で観戦していました。
当時のブログ記事はこちらです
第71期順位戦 A級8回戦


順位戦A級というのは、将棋界のトップ10人が10ヶ月間総当たりで戦って、
名人への挑戦権を奪い合う場です。
全9回戦の8回戦ということは、のこりあと2戦。
この8回戦からA級棋士勢揃いの一斉対局となり、将棋界はさながらお祭りのように盛り上がります。

2013年2月1日の▲羽生三冠-△渡辺竜王はどういう状況で闘われたのかというと、

・羽生(6勝1敗)暫定首位
・渡辺(5勝2敗)三浦八段と同率2位

と、1位と2位の直接対決。
羽生三冠は自身が勝って三浦八段が負ければその時点で名人挑戦決定、
渡辺竜王は負けたら即挑戦の可能性はなくなり、
勝てば6勝2敗で首位に並び自力での挑戦権獲得の可能性が残ります。

両者はこの前年の王座戦で羽生三冠の王座20連覇を渡辺竜王が阻止し、
そしてこの年の王座戦で羽生二冠が即リベンジを果たして王座を獲り返し、
しかし王将、棋王戦では渡辺竜王が挑戦権を得てタイトル挑戦中…
というきわめて激しい覇権争いの真っ最中。
名人挑戦に関わるこの将棋もまさに天下分け目ともいえる一戦でした。

結果は劇的なドラマの果てに、羽生三冠が勝利。
この日は三浦八段も勝ったため挑戦獲得は9回戦に持ち越されましたが、
最終戦も勝った羽生三冠が8勝1敗という文句なしの成績で名人への挑戦を決めました。


映画『3月のライオン』後編の終盤、
獅子王戦挑戦者決定戦での▲後藤-△桐山戦はこの将棋が元になっています。
ここで、あれ?と思いませんか?


元となった将棋で勝ったのは先手の羽生三冠でした。
でも映画で勝ったのは後手の桐山君でしたよね。

実は現実と映画の将棋で同じなのは105手目の▲7七銀まで。
映画でもここからドラマが巻き起こりましたが、
なんと、現実の実際の将棋でもここから大変なドラマが起こりました。



105手目 ▲7七銀の局面


【映画でのドラマ】

▲7七銀
この手を見た桐山君は苦悩し、一種トランス状態のようになって自らの頭を叩いたりと奇行を見せます。
検討陣は▲7七銀の局面は、後手の王様が追い詰められていてそれを解除する方法がなく、先手の勝ちだろうと見立てられていました。
しかし、苦悩の末にハッと何かに気付いた桐山君…注目の次の一手は…!?

△7七同歩成
この手は先手を追い詰めてはいる、でも、先に後手の王様が詰んでしまう!
どういうことだ!?と誰もが思い、後藤も後手玉を詰ますべく王手王手で畳み掛けます。

だがしかし、そこで後藤も気がついた……後手玉は詰まない……。
桐山君ひとりだけに見えた勝ち筋で見事に勝利、獅子王戦の挑戦権を勝ち取りました。
(ちなみにここで逆転という言葉が使われていますが、正確に指せば後手が勝ちだったのですから、逆転ではないですよね…閑話休題)


【現実でのドラマ】

▲7七銀
1手前の局面から「▲7七銀では△同歩成が先手玉への詰めろになる(次に詰む)」と言われていたので、
この手が指されて解説会場はざわつきました。
後手玉も危険そうに見えるけど、ギリギリ詰まない。
どういうことだ!?次は当然△同歩成で後手勝ちだろうと解説会では言われていました。
私も▲7七銀の瞬間、全身から血の気が引く思いで見ていました。

△2三歩
えっ!?!?解説会場が再びざわつきました。
△7七同歩成で後手勝ちなはずなのに…後手が受けに回った???
しかも、受けに回ったことで、かえって今度こそ後手玉が詰めろに!
いったい何が起こったの!?!?
後手勝ちだろうと言われていた局面から形勢逆転、そのあとも難しい局面は続きましたが、正確に対応した羽生三冠が勝利をもぎ取りました。

なんと▲7七銀の局面では△同歩成と取ったら、
▲3四桂から「後手玉が詰む」と両者ともが同じ勘違いをしていたのでした。
実際には▲3四桂には△4一玉と逃げれば後手玉に詰みはありませんでした。

こんなことって…あるんですね…あるんですよ…。
目の前で見ましたもの…。
事実は小説より奇なり、です。


一手で勝敗が入れ替わってしまう将棋の恐ろしさ。
同じ将棋を題材にしながら、現実とはまったく正反対のドラマを展開した映画。
映画単独でももちろん面白いですが、こんな裏話を知るとより一層楽しめるのではないでしょうか。


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